2007年10月22日月曜日

厚生年金の受給額は、実際派16万円

 厚生年金の受給額は、実際にはいくらぐらいですか。
平均額は月16万9000円
 会社員などが加入する厚生年金は、制度に加入した期間が長く、その間の賃金水準が高かった人ほど、金額が多くなる仕組みです。社会保険庁の調べによると、実際に受け取っている人の平均額は、昨年3月末現在、月約16万9000円(本人名義の基礎年金を含む)です。 ただし、男女別に見ると男性が平均約19万6000円を受け取っているのに対し、女性の平均受給額は、その6割弱の11万円にとどまっています。 このデータは、厚生年金に原則として20年以上加入していた人だけを対象に、年金額を集計した結果です。 女性が男性を大きく下回っているのは、出産や子育てで仕事を離れざるを得なくなったり、賃金の低い仕事をしていたりする例が目立つからです。
 このデータで、男性の平均加入期間が34年7か月なのに対し、女性は23年8か月で、11年ほど短くなっています。年収の平均額(推計値)も、男性513万円、女性284万円で、女性は男性の6割弱です。年金額の男女格差を是正するためには、子育てしながら働きやすい環境を整備し、男女の賃金格差をなくす必要があります。 今年4月から、育児休業を取得した場合に厚生年金保険料が従業員本人分、事業主負担分ともに免除される対象が、それまでの「子が1歳未満」から、「3歳未満」に拡大されました。年金額の計算上は、その間の賃金が休業直前の水準だったと見なされます。子育てを支援し、年金額の格差を縮小することが目的です。 しかし、そもそも育児休業を取得できずに退職する女性が目立つ現状では、十分な効果は期待できそうにありません。年金制度の枠内だけで考えていては、年金額の格差は、なかなか解消できないのです。 ところで、厚生労働省は、夫が平均的な会社員、妻がずっと専業主婦という夫婦を「モデル世帯」と想定し、その年金額が合計で月約23万3000円だとしています。 今回のデータで、男性の平均受給額が月約19万6000円ですから、仮にこの額を受け取る男性の妻が基礎年金を月4、5万円ぐらい受給すれば、夫婦の合計額はモデル世帯を上回ります。よく、「実際の受給額は、厚労省のモデル世帯ほど多くないのでは」という声を耳にしますが、サラリーマンと専業主婦だった世帯のかなりの部分が、モデル世帯と比べて、さほど見劣りしない年金を受給していると思われます。(2005年8月17日 読売新聞)

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